黒字か赤字かの分かれ目 (その2)
更新日:2019年8月6日
皆様、おはようございます。中小企業診断士の土肥です。
昨日に引き続き損益分岐点のお話です。
損益分岐点売上高を算出する計算方法は以下の通りです。
損益分岐点売上高=固定費÷限界利益率
固定費は企業が営業活動をしていくために必要な費用となります。経費である家賃や水道光熱費、従業員の給与や宣伝広告費、旅費交通費、通信費などとなります。
基本的に固定費は売上高の増減に関わらずかかる費用となりますが、売上高が損益分岐点売上高を超えずに赤字となっている場合には、見直していく必要があります。変動費は仕入原価や製造原価となります。
変動費率が高く、限界利益率が低い企業体質の場合は損失が発生して赤字になりやすくなってしまいます。利益を出すには損益分岐点売上高を超えなければなりませんが、損益分岐点売上高を下げることで利益がでやすくなります。
企業は損益分岐点を下げることで、黒字が出やすい企業体質にすることができます。損益分岐点を下げるには、固定費を下げる方法と変動費を下げる方法があります。変動費を下げるには、製造原価や仕入原価、また販売費などの見直しをしていく必要があります。
また固定費を減らすには、事業所内における無駄、無理、ムラの排除を徹底して行うことが効果的です。注意点としてはにコストを削減しすぎてしまうと、従業員のモチベーションが下がってしまい、経費は削減できてもそれ以上に売上高が減少してしまう可能性があります。
変動費と固定費のコスト削減は、会社が赤字となっている場合には売上高を増やすことよりも簡単なことかもしれませんが慎重さが必要です。損益分岐点を下げることで売上高を増やすことなく、赤字から黒字に転換できる可能性はありますが、それ以上に従業員のモチベーションを下げないように注意してコスト削減をしていく必要があります。
まとめとして損益分岐点を分析するにあたり、会社が赤字となっているのであれば黒字転換までの売上高の目安になります。会社が黒字であれば、どの程度の余裕があるのかの目安になります。さらに借入をしている場合には、返済も考慮した損益分岐点にする必要もあります。財務会計では変動費と固定費に分けていないので、自社の何が変動費で、何が固定費にあたるのか把握することも大切です。
黒字であれば、設備投資や従業員の増加などの事業拡大を検討することができます。損益分岐点をしっかりと分析して、黒字体質の会社経営をしていくことが大切です。2日間にわたって損益分岐点について書かせて頂いたのは広く普及している考え方であるにも関わらず実施されていることが非常に少ないと感じているからです。御会社で一度、実施されてみては如何でしょうか。
